人生とは自分が何者でもないことを知る旅
週末の女性向けトイレはとにかく混む。
デパートのお手洗いの列に並んでいて、前に並んでいる女性が、振り返って私に声をかけてきた。
「広い方のお手洗いを使いたくて待っているので、先に行ってください」
よく見るとその方は生後間もないであろう赤ちゃんを抱いていた。今時の抱っこ紐はおしゃれで気づかなかった(言い訳)。
「すみません、ありがとうございます」と、ついまた反射的にすみませんって言ってしまったなぁ・・・と反省しながら彼女を追い越した。
自分が結婚できて、もし子どもが生まれたら、私も彼女の立場になる。
そのことがあまりにも想像できなくて、自分の配慮のなさだとか、例えばこういった施設に彼女の声は届くかなとか、ガーっといろんな考えが頭を駆け巡っては泡のように消えていった。消えないように、忘れないように、今、このブログを急いで書いている。
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「人生とは自分が何者でもないことを知る旅」だと思っている。
自分では特別ではないこと。
自分は特殊な変わり者ではなくて、ただの人間だということ。
芸能人だとか、超有名人だとか、何か特殊な才能を発揮していたり、はっと目を引くほどの美人だったりすれば、特別なのかもしれないけど。
私は私だった。
何者でもなかった。
だとしたら、この手でできることをやって、この足で行けるところまで行くしかないじゃないか。
立場が変わっても。
考えが変わっても。
いつだって、何者にもなれるんだ。
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お手洗いでただ偶然彼女の後ろに並んでいただけで、ここまで考えがすっ飛んでしまう私はどうかしている。だけど、「赤ちゃんを連れたママさんも使いやすいお手洗いになるといいな」と願いながら、「でも不平不満ばかりを言うのではなく、今あるものに感謝する気持ちも大事にしよう」と、改めて感じたのであった。